月経前症候群(PMS)
1.PMS(月経前症候群)とは
PMS(Pre Menstrual Syndrome)は、 「月経前症候群」や「月経前緊張症」とも呼ばれます。
生理前の3~10日前から心や体に不調が起こり、生理が始まると症状が無くなっていく症状です。日常生活に支障をきたして悩んでいる方も多くいらっしゃいます。
PMSの症状は非常に多く200種類以上あると言われています。1人1人異なるのに加え、同じ人でも月によって現れる症状やその度合いが変わってくるため、 ご自身での判断が難しい病気です。また、日本では月経のある女性の約7~8割に月経前に何らかの症状があると言われています。
こんな人はPMSになりやすい!
PMSにも個人差があり、なりやすい人とそうでない人がいるようです。下に挙げたような方がPMSになりやすいと言われています。
性格
- 真面目、几帳面
- 我慢強い
- 完璧主義
- 負けず嫌い
年齢・出産経験
- 20~30代
- 出産経験がある
生活習慣
- ストレスを溜めやすい
- コーヒーをよく飲む
- 不規則な生活
- 飲酒、喫煙
2.PMSの症状
PMSの症状は200以上あると言われています。ここでは特によくある症状の一部をご紹介します。
体の症状
- 乳房の張り
- 体の怠さ、倦怠感
- 眠気
- 生理痛、腹痛
- 下腹部痛、下腹部の張り
- 食欲増加
- 肌荒れ、ニキビ
- 頭痛
- 吐き気、めまい
- 肩こり
- むくみ
- 下痢、便秘
心の症状
- イライラする
- 怒りやすくなる、理由もなく人に当たる
- 不安感、泣きたくなる
- 憂鬱感
- 感情の起伏が激しくなる
- 気分が落ち込む
- 仕事に行きたくなくなる
- 無気力になる、集中力が落ちる
3.PMSの原因
PMSのはっきりとした原因はわかっていません。ですが女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」の
変動が関係していると考えられています。
1ヶ月の月経周期の間にこの2つのホルモンが急激に変動します。
特に月経前の黄体期には2つのホルモンが急激に低下することにより、心身共に様々な症状が現れると考えられています。
4.検査
現在、医学的検査による客観的な指標はありません。ですが月経周期と症状の変化を確認することで診断を行います。 毎日の症状の記録、身体的・精神的症状が月経前に現れ月経開始後に消失していくことの確認、他の似た症状を持つ疾患では無いことの確認を行い、PMSの診断に至ります。
5.治療
毎日の症状を記録して把握することで対処をしやすくします。
これにより、月経前の症状が現れる時期にはリラックスできる時間を増やしたり、
無理な生活をしないように心がけることができます。その他に、以下のことを試すとPMSの症状が和らぐとされています。
1.生活の改善
- 休養と睡眠を十分にとる。
- 適度な運動を心がける。
- 喫煙や飲酒は控える。
- カフェイン摂取を控える。
- ストレスを受けやすい活動・環境は避ける。
- ストレス解消になることをする。
- チョコレートなどの甘いお菓子を避ける。
- ファーストフードやコンビニ弁当などの偏った食事を避ける。
- タンパク質の摂取量を増やす。糖質の摂取量を減らす。
- 塩分を摂りすぎない。
- 果物、牛乳、野菜、食物繊維、複合炭水化物(パン、パスタ、豆類、根菜に含まれる)、カルシウム、マグネシウムの摂取量を増やす。
2.薬物療法
- 排卵抑制療法
- 対処療法
- 漢方療法
PMSは排卵によって起こるホルモンの変動が原因なので、そもそもの原因である排卵を止めることで症状を抑えます。
低容量経口避妊薬(低容量ピル)、低容量エストロゲン・プロゲスチン配合薬などにより、排卵を止めます。
PMSによる症状に対して、それらを抑えたり和らげる療法です。
痛みに対しては鎮痛剤を用いたり精神神経・
自律神経の症状に対しては精神安定剤を用いたり、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)によって脳内のセロトニン濃度を
高めることで抗うつ作用や抗不安作用などが期待できます。
漢方薬によっても症状が緩和される場合があります。
6.PMSかも?と思ったら
PMSでまず初めに大事なことは、自分で月経周期の変化に伴って起こる心身への変化に気づくことです。
「生理だからしょうがない」 「こういう体質だからしょうがない」「気分の浮き沈みが激しいのは私の性格が悪い」と、諦めてしまわないでください。 生理は女性にとって毎月起こる大切な体の仕組みですが、この生理によって月の半分は体調が優れないという方もいます。
生理によって起こる体の不調のせいで仕事に支障が出たり、プライベートを楽しめなかったり、周囲に当たってしまったりするのは、 とても辛いですよね。ですが、適切な治療法によってPMSは症状が改善される可能性があります。たかが生理と思わずに、 少しでも辛い症状があって「もしかしたら私、PMSかも?」と思ったら是非一度当院へご相談ください。
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